フジテレビ
2005年5月6日放送
山田太一ドラマスペシャル「やがて来る日のために」
多分あたくしには苦手なドラマだと思い、ほんのちょっとサワリだけ見るつもりだったのに、見始めたら止まらなくなった。で、すごく良かった。
に
何が苦手って、手遅れの末期患者とか、訪問看護婦とか、生と死の感動とか、どれもがけっこー苦手なあたくし。いや、正確に言えば、そういうモチーフ ではなく、『そこで繰り広げられるであろう、泣かせることを目的としたドラマ』が嫌い。泣かせてやろうって魂胆が、ものすんごく嫌い。
でも、これは違ってた。淡々としててベタついてない分、余計にジワジワとやられちゃってました。。
訪問看護専門のステーションの責任者であり、自らも訪問看護師として働く美代を演じるのは市原悦子様(そー、「家政婦は見た」シリーズでお馴染みの)。
美代は、死を間近にし自宅療養をする患者たちの家を回り、必要なケアを行っている。患者への肉体的看護はもちろん、患者やその家族のメンタルな部分にも気を配る。なだめたりすかしたり、だけど、自分から出しゃばり過ぎたりはしない。
・・と言うとすごく「できた人」みたいだけど、定年後、家で気楽にゴロゴロしてる夫にイラつき「私はもう幾らも生きられない人たちを、毎日毎日相手にしてるのよっ!」とキレたりもする、そんな人。
彼女が回る患者達には、当然だけどいろんな人がいる。高齢者もいれば中年の女性、若い女の子もいて、そのどのエピソードもしみじみと考えさせられる ものばかりだった。本当にどれも良かったのだけど、上野樹里ちゃん演じる18歳の恵美が死期を悟って、最後に横浜に行きたいと言う話はとても切なかった。
だって、彼女が横浜で行きたかったのは、特別な場所ではなく以前通った学校やコンビニや駅なんだもん。元気だった頃の『普通の日常』を見ておきたいという、本当に何でもない、ささやかなささやかな我が儘。それが叶った数日後、結局恵美は息を引き取る。
たくさんの死を見てきた美代にも、若い恵美の死はまたさらに辛いけど、葬儀で空っぽになったような彼女に帰る早々、別の患者が危ないと連絡が入る。ふにゃふにゃの自分を立て直して、その患者の元に出向いていく美代。。
死をただ重く悲しいものにするのではなく、かといって軽んじるのでもなく、当事者や家族、それを見守る訪問看護師の『そのままの気持や日常』が伝わってきて、何だかヘンだけど、悲しいよりもホッとしたようなふんわりとした気持になった。不思議な後味のドラマだった。。
もし再放送があれば、ぜひ見て欲しいな。。

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