いつものように部屋で仕事をしていると、どこからか子猫の鳴き声が聞こえてきた。住んでいるマンションの近くを捜してみると、駐車場の隅っこ、ゴミの小山の上にぼろぼろの子猫を発見。
でも一言も鳴かず、目はつぶれているように見え、毛の色もわからないぐらい汚れている。
それに何より感じるのは、その無表情さ。それに微動だにしない。
手が出せず、一瞬、身体が引いてしまうような感じで、ダンナを呼びに戻った。
「しょうがねぇなぁ...」という面持ちで、でも何物にも抗わない風情で立ち上がったダンナと共に子猫のところへ戻った。
ほぼ周囲のゴミと同化しているせいか、あそこ、あそこと指さすまで気づかないダンナだったが、子猫の襟首をひょいとつまみ上げた。
「生きてる...?」と聞くと「大丈夫、大丈夫」という返事。
タオルでくるんと包んで受け取ると、ほとんど重さのない、でもじんわりあたたかなモノ。
それが太郎だった。

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